2016 連合山形地域活性フォーラム

連合山形 岡田会長挨拶

連合山形 岡田会長挨拶

20160819-02

山形県知事 吉村美栄子 基調講演

山形県知事 吉村美栄子 基調講演

(株)山形新聞社代表取締役社長 寒河江浩二 基調講演

(株)山形新聞社代表取締役社長 寒河江浩二 基調講演

20160819-05

パネルディスカッションの模様

パネルディスカッションの模様

4月16日(土)、山形市「大手門パルズ」で「地域活性フォーラム」を開催しました。
本フォーラムには県内各地から140人が参加し、「地域活性」の課題と今後どう行動し地方創生を具体化して行くのか問題と認識の共有を図りました。

最初に連合山形 岡田会長があいさつした後、山形県 吉村知事から「人と地域が輝く【やまがた創生】の前進に向けて ~平成28度の県政運営~」を説明し、続いて山形新聞 寒河江代表取締役社長(山形新聞社グループ経営会議議長)より「地方創生で知恵を絞る ~産官学金労言」について基調講演を頂きました。
引き続き「地域活性」にどのように取り組むかをテーマに「パネルディスカション」を行ない労働組合、行政、経営者、有識者のそれぞれの立場から意見をいただき、コーディネーターの山形県経済社会研究所 高木顧問が対応策等をまとめた。

[主催]:連合山形
[後援]:(一社)山形県経済社会研究所・(一社)山形県労働者福祉協議会・東北労働金庫山形県本部・全労済山形県本部

<次第>
  1. 主催者代表挨拶……連合山形 会長  岡田 新一
  2. 基調講演
    …①山形県知事   吉村 美栄子
    …②(株)山形新聞社代表取締役社長・山形新聞社グループ経営会議議長  寒河江 浩二
  3. パネルディスカッション
    …①コーディネーター
    (一社) 山形県経済社会研究所 顧問  高木 郁朗
    …②パネラー
    山形県商工労働観光部 部長  大澤 賢史
    山形パナソニック(株) 社長  清野 寿啓
    山形県中小企業家同友会 代表理事  西塔 秀幸
    (一社)山形県経済社会研究所 所長  立松 潔
    連合山形 会長  岡田 新一
  4. 閉会挨拶……連合山形 事務局長  設樂  正

1.主催者代表挨拶
連合山形の岡田会長は「連合山形は県内に働く仲間の賃金や労働条件など処遇改善に向けて取り組みを行なっている。県内の大部分を占める中小企業に働く皆さんの処遇改善が、地域の活性化と地方創生に繋がって行くという観点から本フォーラムを開催した。『大企業と中小企業』『中央と地方』の格差が拡大する中で、それぞれの課題について労働、行政、経営者、マスコミ、学識経験者の皆さんと一緒に考え、地方から行動して発信していく事を趣旨としたい」と挨拶した。

2.基調講演
(1)吉村県知事より「人と地域が輝く【やまがた創生】の前進に向けて ~平成28度の県政運営~」をテーマに説明を受けた。
①豊かな山形の資源を活かして雇用を創出
②山形に住もう・帰ろうプロジェクトを推進
③若い世代の結婚・出産・子育ての希望を実現
④安心と活力ある地域を創出
以上4項目の成長戦略とそれぞれの施策について説明、フル規格新幹線など交通ネットワークの整備に尽力するとし、「ハード面でしっかり取り組んでこそ、ソフト面の施策も効果が倍増する」と語った。

(2)山形新聞社の寒河江社長からは地方創生に関し、鶴岡市の国機関の地方移転方針に伴う「国立がん研究センター研究所」連携拠点設置を紹介。「鶴岡市は地方創生のモデルであり参考になるヒントがある」と述べた。一方で本県をはじめとする東北地方が、かつて征討の対象になった歴史に触れ、「われわれは知らず知らずのうちに格下感を身に染み込ませているのではないか」と指摘。「中央を志向し、中央の大学や職場に行くのでは人口減少は必然的。格下感とルサンチマン(恨み)からの脱却が地方創生を成功させる鍵」と述べた。産学官金に労働組合や言動機関を加えた関係団体が連携を強め、地域創生を展開する重要性を呼び掛けた。

3.パネルディスカッション
基調講演をヒントにパネルディスカッションが行われた。冒頭、山形県経済社会研究所の高木顧問より「御二人の基調講演の内容にもあった、山形県域の地域活性について文明と自然の融合という特徴を持った山形の発展を更に進めて行くために議論して行きたい」という基本的なテーマが示された。
最初に山形県経済社会研究所の立松所長から問題提起があり、消費減少、就業人口減、労働力不足、後継者不足、社会減、自然減、格差貧困問題、子どもの貧困率、ワーキングプア率の悪化、そして貧困層の拡大と出生率との関係性についてそれぞれ説明がなされた。

【パネルディスカッションでの主な発言】
(1)地域活性化を論議していく前提として山形県の経済・産業・労働の問題点
①<大澤部長>
・正社員求人倍率が全国平均以下。
・人口減少に伴い市場が縮小していく中での持続的な産業振興が大きな課題。
・建設、医療、福祉、介護分野の人出不足が拡大している。雇用の質の課題への取り組みが重要。
②<清野社長>
・人口減少により物が売れない。
・事業を担う人がいない。求人しても採用できない。定着化が困難。
③<西塔代表理事>
・賃金、最低賃金、初任給が安い、中央との格差。
・人口流出
・後継者不足。休廃業、解散が多い。
④<岡田会長>
・人出不足、人材確保、交通・運輸部門では仕事があっても対応できない状況。
⑤<(一社)山形県経済社会研究所 顧問 高木郁朗>
・人口減少が進むと「物が売れない」「働く人がいない」という所をどうするかが鍵になるという提起。影響が顕著に表れるのは中小・零細企業だが、どんな対策を取られているか。
⑥<西塔代表理事>
・寒河江社長から格下感という話が出たが、中小企業が自信を持っていない。もっと自信を持ってアピールすべき。中小企業家同友会は独自に共同求人誌を作成して各学校を回っている。労働条件では大企業にはかなわないが、力が発揮できる働く場が中小企業にはある事を積極的に働きかけていく必要がある。
⑦<高木顧問>
・「物が売れない」事への対策について、県への要望等、清野社長のお考えをお聞かせください。
⑧<清野社長>
・「地域振興券」のような短期的な物も中小企業には必要だ。
・県全体にお金がない訳ではない。高齢者の保有率が高いが買うものがない。欲しいものがたくさんある世代にはお金がない。必要な所にうまくお金を回す金融施策が必要だ。

(2)山形県の地域活性化について何が必要か、
①<大澤部長>
・山形県の豊かな資源と技術の集積を生かした業種の枠を超えた「産学官金労言」のような連携を構築する事により相乗効果を促してイノベーションに繋げていきたい。
②<清野社長>
・県には中小企業に対する人材確保の大キャンペーンを行なっていただきたい。「50歳になったら山形に帰ろうキャンペーン」のような中途採用への対応、今までの経験・スキルを山形で活用。
・既成概念にとらわれないビジネス・デザイン力、お客様の生活へのアプローチ。
③<西塔代表理事>
・「山形県中小企業振興条例」について中小企業団体も連携を図って一緒にやっていきたい。
④<岡田会長>
・「産学官金労言」をオール山形で共同行動できればと考えている。大沼労働組合と七日町商店、行政、NPOが共同で地域活性のイベントを行なった事例を紹介。参考にしながら、地域活性化のために知恵を出し合って共同行動などを行っていきたい。

(3)山形県の戦略的な軸について
①<高木顧問>
・議論の中心になっているのが人の問題。清野社長から電気小売店の住宅リフォームに対する取り組みが紹介されたが、かなり大きな要素だ。先端技術でなく手にどれだけの技能・スキルを持っているかが大変重要な意味があり、山形県はその部分の人材が不足しているのではないか。バスのドライバー、建設業のオペレーター・内装業、自動車整備工など、先端技術の裏側では人間生活にかかわりのある技能を持っている人が不足してきたために電気小売店のリフォームに繋がったと思われる。
②<立松所長>
・「格下感」について、山形県の企業の方々は非常に謙虚なので、もう少し自信を持ってアピールしてもらいた。
・外国からの観光客の誘致については、相当の人材力が必要とされる。地域を挙げて連携しながら取り組まないと出来ない。県の人口が減少しても訪れる人口が増えれば地域の活性化に繋がる。機運の醸成を「産学官金労言」全体で取り組む事が必要だ。「住んでよし・訪れてよし・働いてよし」というスローガンで売り込んで観光客のみならず移住も含めた取り組みが今後の山形県の地域活性化の鍵になる。
・農業はあらゆる産業に結び付く。連携を高める事による伸び代は非常に大きい。
③<大澤部長>
・一番割合の高い製造業が軸になっていくが商業・サービス業も支援を行っていく。
・国の観光予算で32億円が東北に割り当てられた。各県と連携して取り組んで行く。

(4)全体のまとめ
<高木顧問>
・人材の大切さについて企業誘致よりも人の誘致の方が重要、人材がすべての鍵になるという事が本日の議論の結論。
・山形県に人材がどのように定着をどうするかという事を軸に考えていく。
・「産学官金労言」のネットワークの連携が重要。人材問題の情報交換や調査を共同でやって頂きたい。「それぞれやれることがある」

4.閉会挨拶
連合山形設樂事務局長は「山形県の人口は毎年1万人程度減少し続けている。この問題を放置すると経済・産業が衰退していく。この解決には『産学官金労言』それぞれが知恵を出し合い取り組んで行くべきであり、県民・住民の参画が極めて重要になる。地域を巻き込みながら末永い取り組みを行なっていきたい」と挨拶し終了した。

  
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