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Ⅲ.産業政策について

Ⅲ.産業政策について

1. ものづくり政策について

 中小企業の経営基盤を強化し、中小企業の保有する技術・技能を永続的に活用していくことが、地方における製造業の拠点の維持・強化と雇用の確保にとって不可欠である。そのためには、優秀な人材確保が必要であり求職者支援制度の求職者支援訓練について、地元企業のニーズに合致したものとなるよう、地方自治体としての対応を要請する。合わせて、関係団体が国から委託を受け「技能伝承・振興対策費(ものづくり立国の推進)」の一環として工業高校・中小企業に熟練技能者を派遣し実技指導しているが、国からの委託金が少なく一部の地域での実施に止まっている。当然、国としての制度拡充を求めていくが、県として同様の制度を独自に創出していくこと。

 
2.情報通信政策について

 昨今、固定から移動へとモバイル通信が急速に需要の伸びが増えてきている状況にあり、山形県内においても広場や店舗内などにWI-FI(無線ラン)スポットを設置しており益々増えつつある現状にあります。
 しかし、そのWI-FIスポットについては、通信事業者毎に個々の契約等利用者制限(ID・PW登録)等がされており、特定の利用者限定または、一時利用するために個別料金が発生するなど、あまり一般向けされていないのが現状です。
 県内各市町村の商店街等の活性化、たとえば県内の各観光地への集客アップを図る上で、観光情報・観光ガイド等のコンテンツを開くことを目的とした専用のWI-FIスポットを構築し、観光ガイドブック等にアクセスコード等を記載するなど観光客への情報共有により利用促進を図る等、通信事業者に関係なく誰でも自由に利用できるWI-FIスポット、WI-FIオープンネットワークを構築すること。

 
3.交通政策について

(1)交通関連(鉄道、道路、橋、トンネル等)施設の安全確保対策について

 現在、利用されている交通関連インフラ設備は、高度成長期に建設され、すでに耐用期に達する施設が多いことから、本県の交通関連インフラ(鉄道、道路、橋、トンネル等)施設の安全確保対策として、早急な点検と確実な維持管理を行うための具体的予算措置、施設の安全確保対策を講ずること。

 
(2)災害時のトンネル避難路の点検・整備について

 JR北海道石勝線のトンネル内火災事故や中央自動車道笹子トンネルの天井板落下事故が発生し、今後の巨大地震などが想定されるなか、県内では長大トンネルとなる仙山線仙山トンネル内で万が一、事故が発生した場合、山形県側のトンネル入り口から512m内部に脱出口があるが、そのトンネル外側の避難道が、未だ整備されていない。けが人・避難客を搬送する道路も無く、実際の救済ができる体制になっていないのが現状である。したがって、関係自治体ならびにJR東日本と連携のうえ、県内のその他トンネルを含めて、トンネルなどのインフラ劣化点検はもとより、トンネル内の避難誘導経路、トンネル外の道路整備を含めた避難・脱出先の点検、整備をはかること。

 
(3)路線バスへの財政支援と活性化について

 公共事業の維持・確保の観点から、「生活交通維持費国庫補助金」があるが、現行の算出基準では、特に地方における過疎地域の平均乗車密度および運行回数が少ないため、キロ当たりの経常経費が必然的に高くなり、補助金が交付されても赤字が解消されず維持もままならない状況にある。乗合バス路線維持に向け、山形県による単独補助金拡大の予算措置を講じること。
 併せて、車両購入補助金が特定車両(2扉・低床車)のみが対象となっているが、路線によって、使用できないところ(山形-長井線等)がある。対象外の車両(1扉車)に対して、山形県単独で予算措置を講じること。

 
(4)タクシーベイの設置について

 県内の繁華街を中心とする全地区において、タクシーベイの絶対数が不足しており、路上駐車による客待ちを余儀なくされている。道路渋滞解消と事故防止の観点から、県内各地にタクシーベイの設置について関係機関と調整の上、速やかに実現するよう働きかけること。

 
(5)県内幹線道路網および貨物輸送網の整備について

 ① 東日本大震災時、日本海側の道路が物資輸送路としての機能や、首都圏からの代替ルートとなった教訓から、県内における高速道路をはじめ道路整備が進展している。しかしながら、県内の高速道はミッシングリンク(不連続区間)が未だに多く、その供用率は約59%で、全国平均(79%)と比較して大きく立ち遅れている。また、東西線、いわゆる国道47号および国道113号沿いに高速幹線道路が必要であり、きちんとネットワーク化が完成して初めてその役割を果たすことになる。また、大事故や雪害による通行不能となった場合の代替幹線道路が必要である。一方、環境対策や市街地の渋滞、交通事故対策としては、市街地を通過して行く車両の高規格幹線道路への誘導など、全体的な最適性、安全性を加味した交通網の整備となっていかなければなりません。したがって、早期に県内幹線道路の整備をはかること。

 ② 東日本大震災時、酒田港が太平洋側港の代替港の役割を果たし貨物量が増加したものの、現在は、元の状況に戻っている。交通運輸においては、日常的に取り扱い利用者の増加がないと利便性が向上しない、しだいに便数が減らされる、利用が減少していくという悪循環に陥ってしまうという課題がある。したがって、港からの交通網の整備とともに、利用拡大、利便性の向上にむけて取り組みを強化すること。

 ③ 貨物鉄道網は、県内においては、羽越線の貨物輸送はあるものの、山形地区は、オフレールの実態にある。震災時には、福島、岩手には、緊急輸送として関東地区から日本海側を経由して鉄道による燃料輸送が実施された。山形においては使用できる線区がなかったため輸送できなかった。一方、隣県秋田においては、貨物線が埠頭近くまで引き込まれ、太平洋側より秋田港へ向け自動車部品などを積出港と想定した環日本海シーアンドレール構想が生まれ、仙台港駅と秋田港との間でコンテナ貨物列車の運行実証実験も行われた。今後は、環境問題の対応や労働力減少を踏まえ、トラック偏重の貨物輸送ではなく、エネルギー効率の良い鉄道、海運へ誘導することが必要である。県として、貨物駅、港湾施設の整備と物流のインフラ整備、太平洋側および首都圏に通ずる鉄道貨物輸送網の新設が求められる。したがって、鉄道網、物流インフラ整備に向け、取り組むこと。

 
(6)港湾施設間の交通整備について

 酒田港は、東日本大震災において、被災した太平洋側の港の代替港としての役割を果たし、日本海側港湾の重要性が高まるとともに、日本海側と太平洋側を結ぶ交通網の整備、高速化などの必要性が再認識された。一方、酒田港は、2011年11月に日本海側重点港湾「機能別拠点港」のリサイクル分野で選定され、近年のリサイクル関連貨物も増加傾向にある。

 したがって、酒田港へのアクセスする交通網の整備促進、貨物を集積する埠頭整備、および計画段階にある埠頭建設整備を早期に完成させることによって、物流機能の強化、地域経済の活性化もはかられることから、港湾施設間の交通インフラの整備促進(国道47号線や日本海沿岸道等)および高速化、埠頭の整備促進を他の関係行政機関とも連携し進めること。

 
4.農林水産業について

(1)国が食料自給率の向上を目指しているなか、米粉の利用拡大や飼料用米生産への対策強化など県産農畜産物の消費拡大を図り、持続・再生産可能な農業が確保されるよう支援策を講じること。

 
(2)県の基幹産業である農業の再生と、農業者が創意工夫できる支援策を講じ、意欲ある農林・水産就業者が育成・確保されるようにすること。

 
(3)県や市町村において、地域林業を指導するフォレスター・施業プランナー、林業技術労働者の人材育成・確保が必要であり、地元雇用を進め、地域振興を図るなど、地域林業の確立に向けて取り組みを強化をするとともに、現状認識と具体的対策を明らかにすること。
 また、減少の一途である林業従事者の雇用を創設し、安定化を図るため、林業事業体が安定した事業量を確保できる体制を整えるとともに、若年層の雇用を促進し永年雇用ができる体制を確立すること。

 
(4)「やまがた緑環境税」は、10年計画の後半に入っているが、不在村、境界不明瞭等の問題について十分な対策を図るとともに、引き続きPR活動や情報提供を積極的に行い、納税者や森林所有者に不公平感が生じないよう対策を講じること。

 
(5)地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創設等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律(六次産業化法)に基づく「総合化事業計画」の認定を受けることにより、農林漁業者等が新たに6次産業化に取り組む際の支援として「山形6次産業化サポ―トセンタ-」が開設され、6次産業化の専門プランナ-が、従事者・事業体・新規参入者を希望検討する人たちのための情報提供や、その後の相談等に対応できる役割を担って、設置されているが、更なる推進を図るためにも、PR及び啓蒙等について積極的な取り組みを行っていくこと。
 また、具体的に6次産業化の推進をはかり、農林水産業の成長産業化と地域の活性化を重点的にかつ戦略的に推進するためにも、従事者・事業体に対する、起業や経営の安定化に関するきめ細やかな財政・経営の具体的支援対策を講ずること。